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zoom RSS シェイクスピアの現代的戦略

<<   作成日時 : 2008/11/28 22:37   >>

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イギリスを代表する作家といえばシェイクスピアでしょう。
その名を挙げることに反論するものなどいないであろう、押しも押されぬイギリス最大の詩人シェイクスピア
ところが、現代の我々が抱いているシェイクスピア作品への評価やイメージが、実はロマン主義的な解釈であると指摘されたら、みなさんは驚くでしょうか?

まあ、たいていの人は別に驚かないでしょう。それよりも、ロマン主義的解釈って何ですか?というのが普通の反応だと思います。
ロマン主義の特徴は、内面性や感情を重視して、想像力を解放しようとした、十九世紀ヨーロッパの支配的な思想、運動です。
芸術とは人の感情を表現したものであるとか、作者の想像力が生み出した作品とかいった、現代ではごく当たり前のように思われている芸術論が生まれたのも、実はこの頃のことなのです。

そのような観点で見ると、ハムレットと一緒に悩み苦しみ、ジュリエットとともに恋をして絶望するような、現代のシェイクスピア受容のあり方は、正にこのロマン主義に根ざしているといえるのです。

果たして、それはシェイクスピア自身が考えていた作品受容のあり方でしょうか?それに異議を唱え、シェイクスピアが大胆にもたくらんでいた戦略を明らかにしようというのが、岩波新書の『シェイクスピアのたくらみ』という本です。
シェイクスピアのたくらみ
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岩波新書 著者:喜志哲雄出版社:岩波書店サイズ:新書ページ数:205,発行年月:2008年02月この


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新書版ながら、決してよくあるような通り一遍の解説書ではなく、本格的なシェイクスピア論になっていますが、その一方で、決して難解で読みにくいということもなく、シェイクスピアファンや演劇ファンはいうまでもなく、広く本好きの人にお勧めできる一冊です。

この本の特徴は、観客のあり方というものをシェイクスピアの作品解釈の必須要素として捉えるというもので、このような方法論には異論もたくさんあるでしょうが、劇作品の受容論としては説得力が十分にあります。

登場人物にひたすら感情移入して、一緒にストーリーの荒波にもまれるのではなく、登場人物の知らない情報を得て優位な地位にある観客が、少し離れた立場から、登場人物を覚めた目で見つめるところから生じる効果。
これをこの本の著者はブレヒト異化効果になぞらえていますが、そのような観客相手の戦略がシェイクスピアにあったのだというのが、この本の主たる主張です。

ただし、こんなふうに簡単にまとめてしまうと、一挙に難解な文学理論のように思えてきますが、それを具体的な証拠に基づいて分かりやすく説明してくれますので、ぜひご一読を。

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